干潟には川や陸上そして海から栄養を豊富に含んだ有機物が絶えず流入し、プランクトン、ゴカイ、カニ、エビ、魚、鳥など多様な生物の産卵や生育に適した生息環境を形成しています。
第1に、干潟は多くの生物の生息地となっています。
地球上においては一般的に熱帯雨林やサンゴ礁が生物生産性(生態系における一定期間当たりの生物生産の量)が高いとされていますが、干潟にはそれを超える高い生物生産性があることが分かっています。また、生物に多様な生息地として豊富な栄養分を提供し、海洋生態系の新たな構成員となる稚魚や稚貝などの生育の場となり、生態系のバランスを保っています。また、干潟を移動する渡り鳥にとっては休息の地としても重要な場所となっています。
第2に、干潟は汚染物質の浄化作用を有しています。
干潟に生息する植物、微細藻類、微生物には、干潟に入って来た汚染物質を吸収・分解し浄化する作用があります。干潟1k㎡に生息する微生物が汚染物質を吸収・分解する能力は、下水処理施設1ヶ所分の有機物質処理能力に匹敵するといわれています。また、ゴカイは人間の排泄物を浄化できる能力を持っています。(約500匹で1日の一人分の排泄量(約2㎏)を浄化)
第3に、自然災害による被害の軽減と気候調整の機能があります。
干潟は、陸と海の境界領域で水位を調整し、洪水を防いだり台風による影響を縮小化し陸への被害を軽減するはたらきがあります。葦(アシ)等の塩生植物は土壌に根を張り海岸侵食および土壌の流失を防ぎます。また茎や葉には防波・防風効果があります。
第4に、干潟は文化活動や癒しの場を提供します。
干潟は、塩生植物や底生生物(二枚貝やゴカイなど)、渡り鳥などの研究・観察地として自然体験ができる学習の場にもなっています。また、広大な干潟と葦畑は 都市の喧騒に疲れた心に安らぎを与える保養地や観光地として人々の癒しの場にもなっています。